ブルームバーグより引用

ブルームバーグより引用

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-22/PDU6HK6TTDSB01

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日本銀行金融研究所長の翁邦雄法政大学大学院客員教授は、日銀が先月末に行った決定について、「方向としてはステルステーパリング(隠れた緩和の縮小)に向いている」との見方を示した。

 

正常化に向かいたい本音と、物価2%目標達成に向けた姿勢を維持せざるを得ない建前とのかい離が大きくなっており、信認の低下につながるリスクが高まっているとも指摘した。

 

日銀は2年ぶりとなる政策の修正を「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」と説明している。

 

しかし、翁氏は21日のインタビューで、長期金利の上昇容認や指数連動型投資信託ETF)買い入れ減額の余地を作るだけでは緩和の後退と受け取られ、為替が円高に反応する可能性があるため「フォワドガイダンス(政策金利の指針)という包み紙に入れて緩和の強化と言っている印象だ」と語った。

 

 

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先月、日銀会合で現政策の微調整が決定された。今回は相場に織り込ませるための事前リークや正式発表をいつもより少し遅らせるなど、パニック的な円高を避けるために様々な戦術が取られ、私はそのやり方に少し感動した記憶がある。

 

その効果もあってか、ドル円相場は発表後しばらく円安に傾くほどであった(結局円高方向にはなったが) 引用にもある通り、日銀は今回の修正を「継続的な緩和」のためとしている。

 

また発表された文章は非常に難解で、今後の方針が緩和の継続なのか縮小なのか、どちらとも取れるような文章で構成されている。

そのため専門家や投資家の間でも見方が分かれているようだ。 とはいえ、日本のこういう官僚的なやり口を数知れず見てきた私たち日本人なら、出てくる答えは明白といっていいだろう。

 

ハッキリ言ってしまえば、これは日銀の敗北宣言である。 そもそも一連の緩和政策は2%の物価上昇率を達成することを目的としている。この目標は当初、2013年から2年で達成するだろうとされていた。

 

しかし、5年が経過して黒田総裁が2期目を開始した現在も目標は達成しておらず、目標時期は延々と先延ばしされ続けている。そうして黒田総裁はその原因を「デフレマインド(意味はよく分からないがリフレ派がよく使う言葉)にある」とし、それが完璧に消去され、物価上昇率の目標を達成するまでは現状の金融緩和を続けるとした。 が、物価はなかなか上がらない。

 

そもそも、2%という目標(世界では標準とされている数字だが)がやや非現実的な数字であり、実際のところは株価を押し上げるための方便に使われてるようなフシもあるように思う・・・

 

それはともかくとして、日銀は大規模な緩和を長期間続けたが、目標値には全く届く気配もなく、日銀資産はとんでもない額にまで達し(最近FRBの資産額を超えたが、アメリカとの経済規模の違いを考えると・・・)

株や国債など、市場の歪みを示唆する証拠が数多く出ており、もはや収拾が難しいレベルにまで陥っている・・・これが日銀の緩和政策を巡るおおよその背景である。

 

まずまずの絶望的な状況といっていいだろう。下手をすればスイスフランショックのような大爆発が起きる可能性すら出てきているのだ。 で、これらに対する懸念や批判を受けての緩和の微調整を日銀は行なったわけである。

 

こうして見ると次の行き先が緩和の縮小にあることがよく分かる。日銀は物価上昇率の目標を諦め、ここから広げた風呂敷を少しずつ畳み、撤退戦に入るつもりなのだろう(問題は本格的な撤退を始める時期だが、これはよく分からない。要は現在向いている先が間違いなく目標方向ではなく撤退方向だということである)

 

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そしてそれを受けてのドル円相場は今後どうなるだろうか?

一般的に緩和縮小は通貨高のサインなので、それについていけばいいはずなのだが、日銀の緩和は他国と比べてもやや特殊なため、スーパー円安が起きる可能性も一部では指摘されている。

 

この辺りは蓋を開けて見ないと分からないだろうが、私は円高方向だと見ている。

 

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また、ドルの動向も重要である。現在正常化レースのトップにいるドルだが、そろそろ中立金利(どこで利上げを止めるか)の話題も出始めているなど、今後どうなるかは不透明なのが現状だ。

 

トランプ大統領がドル高を明確に否定し始めたのも見逃せない。

とはいえ金利差を狙ったトレードは根強いため、しばらくは膠着状態が続きそうだ。決定的な出来事があるまで長期投資は避けたい。

 

追記 私は日銀の現政策には批判的な立場だが、これについては様々な見方があるのが現状だ。私がここで書いたほど酷い状況なのかは必ずしも断定できない。 また本記事では政治的な事情については省いたが、これもかなり重要な要素だと思う。興味があれば是非。