トルコリラ

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トルコリラを始めとする高金利通貨は儲かるのか

 そんなに儲かるならば、自分でやればいいじゃないか。という声が聞こえてきそうですが、コトはそんなに単純ではないですね。

まず、高金利通貨は高金利にせざるを得ない内情を抱えています。  

それは、債務であったり、外貨準備高の絶対的な不足であったり、地政学的な理由であったり、様々です。

要はその国の信用が低く、中央銀行の信認が甘いということです。そういった事情を内包する高金利通貨は、当然の結果として押しなべてインフレが進んでいます。

金利にしているのはインフレヘッジの側面が強いのですね。つまり、高金利通貨を持っていると自然と、しかもかなりのスピードで減価してしまうのです。ですから、政策金利を上げることで価値の減衰を担保しているとも言えます。

 

 

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 先日、トルコリラアメリカからの米国人牧師解放要求や関税強化をきっかけとして、歴史的な下落を記録した。ドルトルコリラは節目とされていた7台を一時突破するほどで、リラ円も15.40の史上最安値をつけてしまった。

 

これにより日本人でレバレッジをかけてトルコリラを買っていた人間の多くが、強制ロスカットに巻き込まれ、外為ドットコムによると95%ほどあったリラ円のロング比率は現在81%ほどに落ち込んだようである(恐らくだがレバレッジをかけずに放置しているのだろう)

 

しかし、週足や月足を見るとよく分かるのだが、流石にトルコリラは一気に売られ過ぎの感があった。恐らくはスワップ狙いの日本人を狙い撃ちにした短期の投機的なマネーが、大量にリラを売っていたのだろう。

 

そのため今週はその反動で買い戻しが進み、現在はリラ円も19円ほどまで値を戻している(先程のポジション比率で考えれば、ここで相当数の個人投資家がリラ円ショートで含み損を出してそうである)

 

勿論、これは単なる利益確定による反対売買から出たリラ買いである可能性が高く、現状トルコが抱える諸問題については全く解決の目処が立っていないため、相変わらずリラを積極的に買う理由はないと言える。

 

リラを買うことが危険な理由は、冒頭に挙げた「たぱぞうの米国株投資」様の記事に端的に示されている。

 

リラ円を買った日本の個人投資家の多くは、トルコ中銀が掲げる「名目金利」と、物価、つまり貨幣の価値増減を加味した「実質金利」の違いを分かっていない方が大半だったのだろう。

 

金利というのは不労所得を夢見る方にとっては悪魔的な魅力を持つものだが、歴史上もっとも破綻しやすいのが高金利の投資商品であることは言うまでもない。

 

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そしてトルコリラの今後であるが、先程私は「買う理由が全くない」と買いたが、それはあくまでファンダメンタルズを常識的な思考で考えた場合である。

 

確かに、「大統領侮辱罪」があるような国の通貨を買う理由は何処にもない。更にトルコは歴史的に見てロシア、イスラム世界、ヨーロッパの結節点に位置し、不測の事態が起きた場合には真っ先に被害を被る地政学的なリスクもある。

 

そして何よりも独裁的な大統領であるエルドアンは「彼らにはドルがあるが我々には我々の神がある」と発言し、欧米が差配する金融、資本主義システムに対して挑戦的な姿勢を隠そうともしない。

しかし・・・ あくまでナンピンを駆使した短期的な投機なら、リラ円を買う理由がないこともないのである。

 

テクニカル的には明らかなセリングクライマックスがあり、ストップを最安値の少し下(スプレッドが曲者だが、15円割れ付近とかか)に置きやすい。

 

ファンダメンタルズ的にはリラの行き過ぎた下落が、欧米の金融システムに予想以上の打撃を与える可能性もある。現にこの下落に反応して、対ドルで見てユーロは売られ、円が異常に買われるという典型的なリスクオフ相場が起きた。

 

これを欧米諸国がそのまま放置したり、悪化を煽るかというと、その可能性は低い。

場合によっては欧州あたりが救済を目指す事もありうるだろう。

 

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また、現在のトランプ大統領は明確にこそしないものの、ドル高に対してはやや否定的なスタンスを取っているように考えられる。

 

もっともFRBの利上げ路線は建前では止めようがないため、渋々ドル高を容認しているような感じだ。

 

このような状態でわざわざこれ以上、有事のドル買いを引き起こすリスクオフ相場を煽り続けるかも怪しい(そもそも先週の大暴落のきっかけはトランプだが、彼は混乱を作り出した後にそれを積極的に収拾する事で、アメリカ国民からの支持率を得ようとしているようなフシがある) 投資の格言に「素人の売り場は玄人の買い場」という言葉がある。

 

この格言が下がり続けるトルコリラに当てはまるのかはよく分からないが、一考の価値はあるように思う。適切なリスク管理が出来るのなら、超ハイリターン相場を狙ってみてもいいのかもしれない。

 

ひょっとしてすれば、ヘッジファンドを始めとする「大人」達は既にリラの積極的な買い戻しに動き始めているのかもしれない。